胃酸分泌抑制療法-その歴史的変遷と現状、今後の課題
酸分泌抑制療法の課題と今後 腸内細菌叢への影響と大腸疾患
井上 泉
1
,
前北 隆雄
,
加藤 順
,
一瀬 雅夫
1東京海洋大学保健管理センター
キーワード:
盲係蹄症候群
,
ヘリコバクター感染症
,
Helicobacter pylori
,
胃酸
,
大腸疾患
,
大腸腫瘍
,
腸炎-偽膜性
,
Proton Pump Inhibitors
,
大腸炎-顕微鏡的
,
腸内細菌叢
Keyword:
Gastrointestinal Microbiome
,
Blind Loop Syndrome
,
Gastric Acid
,
Enterocolitis, Pseudomembranous
,
Colorectal Neoplasms
,
Helicobacter pylori
,
Helicobacter Infections
,
Colitis, Microscopic
,
Proton Pump Inhibitors
pp.219-224
発行日 2017年1月20日
Published Date 2017/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2017115899
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プロトンポンプ阻害薬など酸分泌抑制薬は,優れた有効性が確認されておりかつ安全に使用可能であるため汎用されているが,近年,長期投与や強力な酸分泌抑制に伴う腸内細菌叢への影響や大腸疾患リスクの増大が問題視されている.酸分泌抑制薬の投与,胃全摘術,萎縮性胃炎の進展など,強力に胃酸分泌が抑制される状況下においては,胃での殺菌作用低下により腸内細菌の異常増殖が引き起こされ,C.difficile感染症,感染性胃腸炎,大腸癌など大腸疾患のリスクが上昇する可能性が指摘されている.酸分泌抑制薬の使用時には,上述の問題点を念頭に,適正な薬剤を選択し,必要最小限の治療薬投与にとどめることが肝要であると考えられる.
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