特集 胃癌診断を極める
[総論]胃癌の病理 背景粘膜に応じた胃癌の病理学的多様性
牛久 哲男
1
,
六反 啓文
,
阿部 浩幸
1東京大学大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学分野
キーワード:
ヘリコバクター感染症
,
Helicobacter pylori
,
胃炎-萎縮性
,
胃腫瘍
,
遺伝性疾患
,
胃粘膜
,
上皮内癌
,
腺腫
,
印環細胞癌
,
Epstein-Barrウイルス感染症
,
未分化癌
,
マイクロサテライト不安定性
,
除菌療法
,
発癌
Keyword:
Epstein-Barr Virus Infections
,
Carcinoma
,
Carcinoma in Situ
,
Stomach Neoplasms
,
Gastritis, Atrophic
,
Gastric Mucosa
,
Adenoma
,
Helicobacter pylori
,
Helicobacter Infections
,
Carcinoma, Signet Ring Cell
,
Carcinogenesis
,
Microsatellite Instability
,
Genetic Diseases, Inborn
pp.18-24
発行日 2020年1月25日
Published Date 2020/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020257070
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胃癌の大部分はHP感染を背景に発生する。通常型の分化型、未分化型腺癌はもちろん、特殊な成り立ちを有するEpstein-Barrウイルス関連胃癌やマイクロサテライト不安定性胃癌もその発生にはHP感染が深く関連していると考えられている。HP除菌後胃癌では特徴的な内視鏡的・組織学的変化がみられる。一方、HP感染率の低下や生活習慣の欧米化に伴い、今後はHP未感染胃癌の重要性も増していくと考えられる。HP陰性胃癌としては、印環細胞癌の一部、接合部癌の一部に加え、稀な亜型である胃底腺型胃癌が代表的で、最近報告されたラズベリー様腺窩上皮型腫瘍も含まれる。背景粘膜の性状に応じて多様な胃癌が発生するため、それぞれの特徴的な内視鏡像や組織像、生物学的ふるまいを十分理解して胃癌診療に臨むことが求められる。
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