特集 胃癌診断を極める
[総論]胃癌の発癌機序 ゲノム異常・DNAメチル化を介した胃癌発癌機序の多様性
寺村 茉利
1
,
清水 孝洋
,
宮本 心一
,
二階堂 光洋
,
熊谷 健
,
内海 貴裕
,
中西 祐貴
,
妹尾 浩
1京都大学 大学院医学研究科消化器内科学
キーワード:
胃腫瘍
,
変異
,
DNAメチル化
,
Epstein-Barrウイルス感染症
,
染色体不安定性
,
マイクロサテライト不安定性
,
発癌
Keyword:
Epstein-Barr Virus Infections
,
Stomach Neoplasms
,
DNA Methylation
,
Mutation
,
Carcinogenesis
,
Microsatellite Instability
,
Chromosomal Instability
pp.12-17
発行日 2020年1月25日
Published Date 2020/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020257069
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胃癌にも個別化医療の時代が到来しつつあり、治療選択を考えるうえで、その発癌メカニズムを理解することは非常に重要である。胃癌のほとんどはHelicobacter pylori感染による慢性炎症を背景に発生するが、慢性炎症により種々のゲノム異常やDNAメチル化異常が誘発され、その発癌メカニズムは多様である。近年、大規模な包括的分子解析の結果から、胃癌をEBV陽性腫瘍、マイクロサテライト不安定腫瘍、ゲノム安定腫瘍、染色体不安定腫瘍、の4つのサブタイプに分類することが提唱された。各サブタイプは、それぞれ特徴的な遺伝子変異、コピー数異常、DNAメチル化異常、蛋白過剰発現などを有しており、異なる発癌メカニズムが推定される。サブタイプ別にアクショナブルな治療標的が同定されることで、各患者に最適な治療選択につながることが期待される。
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