特集 こんなにある薬剤性消化管傷害
小腸および大腸 α-グルコシダーゼ阻害薬(ボグリボース)による腸管囊腫状気腫症
小笠原 尚高
1
,
舟木 康
,
海老 正秀
,
佐々木 誠人
,
春日井 邦夫
1愛知医科大学 消化管内科
キーワード:
大腸内視鏡法
,
腸管嚢胞状気腫症
,
糖尿病
,
Voglibose
,
注腸造影
Keyword:
Barium Enema
,
Colonoscopy
,
Pneumatosis Cystoides Intestinalis
,
Diabetes Mellitus
,
Voglibose
pp.950-955
発行日 2019年6月25日
Published Date 2019/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2019312041
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腸管嚢腫状気腫症(PCI)は腸管壁の粘膜下や漿膜下に含気性嚢胞を形成する比較的稀な疾患で、成因として内圧説、細菌説、呼吸器疾患説、化学説などが考えられているが、近年、α-グルコシダーゼ阻害薬による発症も数多く報告されている。症状は、腹満、腹痛、悪心、下痢などであるがPCIに特異的なものはなく、大部分は軽微で慢性型発症であり、消化器症状がなく検診精査時に偶然発見されることもある。単純X線検査所見では、ブドウの房状あるいは蜂巣状のガス像を呈し、注腸造影検査では、腸管の含気性に富む大小の平滑な陰影欠損像、欠損に一致した嚢胞状のガス像を認める。内視鏡検査では多発する半球状ないし多胞性の軟らかい粘膜下腫瘍様隆起を呈し、隆起の表面は正常粘膜に覆われ、表面に過伸展や機械的刺激による血管拡張や発赤を認めることもある。
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