特集 血栓溶解療法の今
3.肺血栓塞栓症に対する血栓溶解療法
山本剛
1
,
細川雄亮
2
Takeshi Yamamoto
1
,
Yusuke Hosokawa
2
1日本医科大学付属病院 心臓血管集中治療科 講師
2日本医科大学付属病院 心臓血管集中治療科 助教
pp.1399-1404
発行日 2017年9月30日
Published Date 2017/9/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201710041
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肺血栓塞栓症の重症例では,急性の右心不全からショックに陥る。ショック例の死亡率は16~25%と高く,心肺蘇生を要した循環虚脱例では約6割にも達する。血栓溶解療法は肺動脈内血栓の溶解により,肺動脈血管抵抗を減少させ,血行動態や右室機能の早期改善をもたらす。ショック以上の重症例が血栓溶解療法の適応となる。出血性合併症に留意が必要で,血栓溶解療法が禁忌である場合には,外科的あるいはカテーテル的血栓摘除術を行う。最近,本症に関連する専門家で構成されるPulmonary Embolism Response Teamを作り,症例に応じて最適な治療が迅速に提供できるよう集学的にアプローチすることが強調されている。