特集 骨髄不全症の最近の進歩
4.小児後天性骨髄不全症の鑑別診断:小児不応性血球減少症(RCC)の意義を中心に
吉見礼美
1
Ayami Yoshimi
1
1フライブルグ大学小児病院 血液腫瘍科
pp.237-247
発行日 2017年1月30日
Published Date 2017/1/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201702047
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小児の主な後天性骨髄不全症候群には再生不良性貧血(AA)と小児不応性血球減少症(RCC)がある。RCCは骨髄,末梢血中に芽球増加のない小児MDSの総称であり,2008年出版のWHO分類第4版のなかで暫定的疾患単位として提唱された。RCCは汎血球減少と骨髄低形成を示すことが多いため,AAや先天性骨髄不全症候群(IBMFS)との鑑別がしばしば問題となる。RCCとAAは病態や臨床像において共通点が多く,一つの連続した疾患群と捉えることができる。ファンコニ貧血などのIBMFSはRCCと同じ骨髄組織像を示すために鑑別診断として重要である。また,遺伝子診断の飛躍的な進歩により,RCCのなかで遺伝性素因が明らかになる症例が増えている。