特集 骨髄不全症の最近の進歩
序:骨髄不全症診療の問題点 -セカンドオピニオン外来で経験する誤解-
中尾眞二
1
Shinji Nakao
1
1金沢大学医薬保健研究域医学系 血液・呼吸器内科 教授
pp.207-211
発行日 2017年1月30日
Published Date 2017/1/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201702017
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骨髄不全を来す疾患はそれぞれが稀であり,各疾患の定義や相互の境界が曖昧であるため,血液疾患診療の中でも特に誤解が生じやすい領域である。筆者は長年この領域のセカンドオピニオンを担当しているが,紹介医の理解が必ずしも正しくない例をしばしば経験する。その最たるものが,本来は免疫抑制療法で完治するはずの自己免疫性造血不全が骨髄異形成症候群と診断され,適切な管理を受けていないことである。これを避けるためには病名にこだわることなく病態を正確に診断し,その病態に応じて治療方針を決定する必要がある。