特集 多発性骨髄腫の臨床 ~現状と展望~
3.微小残存病変(MRD)測定の臨床的意義 2)Multiparameter flow cytometryを用いたMRD測定
吉原哲
1
,
池本純子
2
,
吉原享子
3
Satoshi Yoshihara
1
,
Junko Ikemoto
2
,
Kyoko Yoshihara
3
1兵庫医科大学病院 輸血・細胞治療科 講師/輸血・細胞治療センター
2兵庫医科大学病院 輸血・細胞治療センター 主任技師
3兵庫医科大学病院 輸血・細胞治療科/輸血・細胞治療センター
pp.57-65
発行日 2016年12月30日
Published Date 2016/12/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201701057
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多発性骨髄腫に対する治療の進歩に伴い,微小残存病変(MRD)測定の意義が認識されるようになってきた。Multiparameter flow cytometry(MFC)を用いたMRD測定は,骨髄腫細胞において異常な発現(aberrant expression)を示す複数の表面抗原を解析し,骨髄腫細胞と正常な形質細胞を区別することによって行う。MFCにおいて多色(8色以上)かつ多数の細胞を解析する方法はNext-generation flow cytometry(NGF)と呼ばれ,現在Euroflowによって世界的な標準化が図られている。この方法により10-5レベルのMRDが検出可能であり,自家移植後のみならず,自家移植非適応の高齢者においても予後の予測に有効であることが示されている。また,比較的簡易かつ安価で導入しやすいこと,検査所要時間が短いこと等よりMRD測定手段としての汎用性が高く,日常臨床への早期導入が期待されている。