特集 同種造血幹細胞移植の多様性:細胞ソースと血縁・非血縁
序 ~わが国における造血細胞移植の歴史と多様化~
加藤俊一
1
Shunichi Kato
1
1東海大学医学部 再生医療科学 客員教授
pp.633-644
発行日 2016年4月30日
Published Date 2016/4/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201605017
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わが国における造血細胞移植の歴史と現状を諸種統計に基づき解析した。 1.同種移植は増加の一途をたどり,最近では年間3,500例程度となっているのに対し,自家移植の増加は2000年代になり緩やかとなり,最近では年間1,600~1,800例でほぼ一定で推移している。 2.同種移植におけるドナーは,1980年代まではHLA一致の同胞がほとんどであったが,1990年代に非血縁者間骨髄移植や非血縁者間臍帯血移植が開始され,非血縁者間移植が現在も増加し続けている。最近ではHLAハプロタイプ半合致血縁者からの移植が増加し始めている。 3.自家移植における移植細胞源は1980年代までは骨髄がほとんどであったが,1990年代に入り末梢血幹細胞による移植が増加し始め,2000年代にはほとんどが末梢血幹細胞となっている。 4.同種移植においても1980年代までは血縁者間の骨髄のみであったが,1990年代に血縁者間の末梢血幹細胞,非血縁者間の骨髄,遅れて臍帯血が増加し始め,2000年代には血縁者間では末梢血幹細胞が骨髄を上回るようになり,非血縁者間では骨髄と臍帯血がほぼ同数で実施されている。