特集 成人T細胞白血病(ATL)研究の現状
4.HTLV-1プロウイルスマイナス鎖にコードされるHBZによる病原性発現機構
安永純一朗
1
,
松岡雅雄
2
Jun-ichirou Yasunaga
1
,
Masao Matsuoka
2
1京都大学ウイルス研究所 ウイルス制御研究領域 講師
2京都大学ウイルス研究所 ウイルス制御研究領域 教授
pp.513-520
発行日 2016年3月30日
Published Date 2016/3/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201604043
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ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は,成人T細胞白血病(ATL)やHTLV-1関連脊髄症(HAM)等慢性炎症を惹起するレトロウイルスである。HTLV-1のマイナス鎖にコードされているHTLV-1 bZIP factor(HBZ)はその発現様式と多彩な機能から,感染者における免疫応答,炎症,発がんに重要な役割を果たしていることが示唆されている。HBZの作用機序として,タンパク質としてのみならず,機能的RNAとしても宿主遺伝子の転写異常を引き起こすことが知られており,HTLV-1が保持する極めて巧妙な感染細胞の増殖機構と考えられる。