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連載 私達の研究(138)
III 型分泌機構を介したクロモバクテリウム・ビオラセウムの病原性発現機構の解析
Molecular analysis of major virulence determinants translocated via Chromobacterium type III secretion system
岡田信彦
1
,
三木剛志
2
Okada Nobuhiko
1
,
Miki Tsuyoshi
2
1北里大学薬学部微生物学教室 教授
2北里大学薬学部微生物学教室 講師
キーワード:
クロモバクテリウム, III 型分泌機構, III 型エフェクター,細胞侵入性
Keyword:
クロモバクテリウム, III 型分泌機構, III 型エフェクター,細胞侵入性
pp.122-130
発行日 2014年8月25日
Published Date 2014/8/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201409122
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細菌感染症は化学療法剤や抗生物質の開発によって多くの感染症が制御できるようになったが,多剤耐性菌や新興・再興感染症の出現は現在もなお,人類の脅威となっている。クロモバクテリウム属細菌による感染症は,これまで熱帯・亜熱帯地域においてヒトへの感染が報告されている。感染後は,肝臓,腎臓および肺などに膿瘍を形成し,さらに敗血症を起こすことで致死率は50~60%と言われている。近年,わが国においても散発例が報告されている。2003年にChromobacterium violaceum(クロモバクテリウム・ビオラセウム)の全ゲノム配列が決定され,本菌のゲノム上に,サルモネラの病原性発現にかかわる重要な2つの III 型分泌機構をコードする「病原島」pathogenicity island(PAI)と高い相同性をもつ病原遺伝子群を有することが明らかとなった。本稿では, III 型分泌機構を介したC. violaceumの病原性発現機構について,私たちが行ってきたこれまでの研究成果を紹介する。