特集 急性骨髄性白血病のゲノム解析 ~現状と展望~
7.前白血病と健常人におけるクローン性造血
吉見昭秀
1
Akihide Yoshimi
1
1メモリアルスローンケタリング癌センター 人類腫瘍病態プログラム
pp.1633-1637
発行日 2015年10月30日
Published Date 2015/10/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201511077
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近年の報告により,健常人であっても特に高齢者においては,高率に遺伝子変異を有する造血クローンが存在することが示された。この確率は,特に高齢者において高い。特定の遺伝子変異を持つ造血幹細胞は,他の造血幹細胞と比べて増殖のアドバンテージを持ち,クローン性を獲得するが,それだけで白血病を誘発するわけではなく,pre-leukaemic stem cellと呼ばれる(ここで言う「pre-leukaemic」は,急性骨髄性白血病の前段階として骨髄異形成症候群に対して使用される「前白血病状態」とは意味合いが異なる)。これらの概念は今後の研究の方向性を示すだけでなく,pre-leukaemic stem cellに対して臨床的にどう対処していくべきなのかを示唆する貴重な科学的データと言えよう。