特集 急性骨髄性白血病のゲノム解析 ~現状と展望~
1.急性骨髄性白血病発症の分子機序:Convergent model
國本博義
1
Hiroyoshi Kunimoto
1
1メモリアルスローンケタリング癌センター リサーチフェロー
pp.1577-1587
発行日 2015年10月30日
Published Date 2015/10/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201511021
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従来のAML発症モデルとして,細胞に増殖・生存優位性を付与する変異(ClassⅠ変異)と血球分化を阻害する変異(ClassⅡ変異)の組み合わせによる2-hitモデルが提唱されてきた。しかし,近年明らかにされた次世代シーケンスによる新しいAMLゲノム異常の全容から,2-hitモデルでは想定されなかった全く新しいカテゴリーに属するAMLの「ドライバー変異」の存在が示され,新たなAML発症モデルの構築が求められることとなった。本稿では,TET2変異とFLT3-ITD変異の特異的な協調作用により白血病発症に至る分子メカニズムの一端を明らかにした研究例をふまえ,新しいAML発症モデルについて考察する。