特集 造血器腫瘍
Ⅳ 検査の実際
1.急性白血病―1)急性骨髄性白血病
一色 郁子
1
,
岡本 真一郎
1
Ikuko ISSHIKI
1
,
Shinichiro OKAMOTO
1
1慶應義塾大学医学部血液内科
pp.1348-1354
発行日 2002年10月30日
Published Date 2002/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905240
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診断のための検査
急性白血病は,造血幹細胞または造血前駆細胞に,分化成熟のある一定段階で分化を停止するという異常が起こり発症する造血器悪性腫瘍である.この分化成熟能の欠損により白血病細胞(芽球)が主として骨髄内に蓄積し,これに伴う正常造血の抑制,芽球の臓器浸潤によって様々な本疾患の臨床像が完成する.臨床的には,再生不良性貧血などの汎血球減少を呈する疾患や末梢血に芽球出現を認める病態(癌の骨髄転移,骨髄線維症など)との鑑別が必要となる.しかし,急性白血病の基本的な特徴は骨髄での芽球の増加であるから,骨髄穿刺をして芽球の増加を確認できれば診断はそれほど困難ではない.骨髄から骨髄血が吸引できない場合は骨髄生検を施行し,芽球の増加を確認する.稀に急性白血病が腫瘤を形成して発症することがある.この場合は,腫瘤の生検標本に後述する染色を施行し診断を確定する.
急性白血病と診断された場合は,次に急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia;AML)か急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leu-kemia;ALL)かを確認し,さらにそのなかでの病型診断を行う.AML,ALLで基本的な病態,治療方針が大きく異なるわけではないが,両者の間で臨床像,治療に用いる薬剤が多少異なっているので,その鑑別診断を行うことの臨床的意義は大きい.
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