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目的:静注用免疫グロブリン(IVIG)および皮下注射用免疫グロブリン(SCIG)は,原発性免疫不全症(PID)の患者の治療に世界で広く使用されている。この多施設共同前方視的単一群非盲検第 III 相試験では,PIDを有する日本人の成人患者および小児患者における人免疫グロブリンG(20%SCIG[IgPro20],商品名:ハイゼントラ®)の有効性,忍容性,および安全性を評価した。 方法:患者25人にIVIGを3~4週間隔で3回投与後,IVIG投与量と等量となるSCIGの週1回投与に治療を切替えた。12週間の導入(wash-in/wash-out)期間の後に,12週間のSCIG有効性評価期間を設けた。主要有効性評価項目は,IVIG有効性評価期間およびSCIG有効性評価期間における血清中総IgGトラフ濃度の幾何平均の比(GMR)の算出による比較であった。 結果:IVIG投与時のIgGトラフ濃度に対するSCIG投与時のIgGトラフ濃度のGMRは1.09であった(両側90%信頼区間1.06~1.13)。試験期間中に重症細菌感染は報告されなかった。評価可能であった患者21人中11人(52.4%)で感染エピソードが認められ,感染症の全発現率は,人/年あたり2.98件であった。7人(33.3%)が感染のために学校,仕事,または保育園を休んだ(人/年あたり3.48日)。16人(76.2%)が,有害事象(AE)の治療目的(47.6%)または予防目的(23.8%)で抗菌薬の投与を受け,抗菌薬使用期間は,人/年あたり167.42日であった。SCIGによる治療中,24人(96.0%)で269件のAEが発現し(1回の投与あたり0.461件),局所反応が最も一般的なAEであった(20人,80.0%)。IgPro20の局所忍容性は,SCIGの注射の85.4%において「極めて良好」または「良好」と評価された。1人(4.0%)で中等度の重篤なAE(細菌感染)が発現したが,これは治験薬との関連なしと判定された。 結論:IgPro20は日本人PID患者において有効であり,忍容性が良好である。