特集 遺伝子治療の臨床展開
序 ~遺伝子治療の復活と実用化に向けた最近の動向~
小澤敬也
1
Keiya Ozawa
1
1東京大学 医科学研究所 附属病院長/同 遺伝子・細胞治療センター長/同 先端医療研究センター・遺伝子治療開発分野 教授
pp.601-604
発行日 2015年4月30日
Published Date 2015/4/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201505017
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しばらく停滞していた遺伝子治療が,ここ数年,欧米で復活してきている。白血病の発生が問題となった造血幹細胞遺伝子治療では,長期観察では造血幹細胞移植をむしろ凌ぐ治療成績が得られている。また,もう一つの方向性として,アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた遺伝子治療が活発に行われるようになっており,パーキンソン病,レーバー先天性黒内障,血友病Bなどで臨床的有効性が示されている。癌に対する遺伝子治療では,キメラ抗原受容体(CAR)発現Tリンパ球を用いた白血病に対する養子免疫遺伝子治療で明瞭な治療効果が確認されており,脚光を浴びている。その他,最近のトピックスとしては,ゲノム編集技術の応用が注目されている。