特集 間葉系幹細胞を用いた細胞治療
序 ~細胞治療薬としての開発が進む間葉系幹細胞~
小澤敬也
1
Keiya Ozawa
1
1自治医科大学医学部 内科学講座 血液学部門 主任教授
pp.451-454
発行日 2013年3月30日
Published Date 2013/3/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201304451
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細胞治療としては,造血幹細胞やリンパ球を用いる方法が実用化されているが,現在開発が進んでいるものとしては間葉系幹細胞(MSC)が注目される。MSCは組織傷害部位に集積する性質があり,様々な細胞に分化する能力を有することから再生医療への応用が研究されているが,この面ではMSCが産生するサイトカインの関与も大きい。また,MSCは炎症部位への集積性があり,免疫抑制能を有することから,造血幹細胞移植後の重症急性GVHDに対するMSC治療の臨床試験が行われ,有効性が確認されつつある。その他,MSCの腫瘍集積性に着目し,癌遺伝子治療のプラットホームとして用いる戦略も提案されている。