特集 骨髄学 ~造血ニッチ研究から見えてきた形態学から分子基盤まで~
6.Humanized mouseシステムを用いたヒト造血・免疫の理解
石川文彦
1
Fumihiko Ishikawa
1
1理化学研究所 統合生命医科学研究センター ヒト疾患モデル研究グループ グループディレクター・主任研究員
pp.353-359
発行日 2015年2月28日
Published Date 2015/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/5201503061
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造血幹細胞が骨に囲まれた骨髄という環境で,いかに幹細胞らしさを維持しているかは,マウスを用いた研究が大きく貢献した学術領域であり,今後も遺伝子組換えマウスを用いたさらなる研究の進展に期待が寄せられる。一方,造血幹細胞は移植医療をはじめとして,臨床の現場にてその性質を活かした治療の重要な要素となる血液細胞でもある。筆者らはヒトの造血幹細胞を理解する目的で,その細胞生物学的特性を測定できるアッセイ系を確立したいと考えてきた。NSGマウスを用いたhumanized mouseシステムを中心に,ヒト造血幹細胞について理解できたこと,造血幹細胞から分化する多様な血液・免疫細胞の解析,現時点での問題点,いかにしてそれを克服できるかについて,筆者らの取り組みを紹介したい。