特集 骨髄学 ~造血ニッチ研究から見えてきた形態学から分子基盤まで~
5.分化血球による造血環境制御
田久保圭誉
1
Keiyo Takubo
1
1国立国際医療研究センター研究所 生体恒常性プロジェクト プロジェクト長
pp.347-352
発行日 2015年2月28日
Published Date 2015/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/5201503055
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哺乳類の血球産生システムの恒常性は,骨髄の微小環境(ニッチ)にいる造血幹細胞によって維持されている。ニッチを構成する細胞としては各種の間葉系細胞や血管内皮細胞が知られており,サイトカインやケモカインなどのニッチ因子を産生して造血幹細胞の細胞数と機能を調節している。近年,これらのニッチ細胞に加えて,造血幹細胞が分化してできる分化血球細胞がニッチとして機能することが報告されている。そこで本稿では,各種の分化血球細胞による造血幹細胞の制御機構についての近年の知見を概説する。