特集 遺伝的素因による血栓症
8.抗血小板薬の遺伝薬理学 ~ADP受容体拮抗薬の薬効に影響する遺伝子多型・日本人と欧米人の人種差~
堀内久徳
1
Hisanori Horiuch
1
1東北大学 加齢医学研究所 基礎加齢研究分野 教授
pp.81-89
発行日 2014年12月30日
Published Date 2014/12/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201501081
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抗血小板薬の1つであるADP受容体拮抗薬は,心血管疾患やステント血栓症の予防薬として用いられる。現在,最も広く用いられているのは第2世代のクロピドグレルであるが,その薬効には個人差が大きく,種々の因子に影響を受ける。クロピドグレルはプロドラッグであり,特に活性化代謝酵素CYP2C19の一塩基多型の影響を強く受ける。日本人の約20%はCYP2C19の酵素活性を持たず,注意を要する。ADP受容体拮抗薬の薬効が弱すぎると虚血性イベントが増加し,強すぎると出血性合併症が増加する。ベストな臨床成績をもたらすADP受容体拮抗薬の至適抗血小板効果は,欧米人と比べて,日本人に対してはより低い。