特集 白血病幹細胞
4.造血の恒常性維持とその破綻における微小環境の役割
新井文用
1
Fumio Arai
1
1九州大学大学院 医学研究院 幹細胞再生修復医学分野 教授
pp.1763-1769
発行日 2014年11月30日
Published Date 2014/11/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201412049
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
生体組織には幹細胞を維持するための特殊な環境“ニッチ”が存在し,幹細胞の動態を制御するシステムが機能している。成体骨髄では間葉系幹細胞,骨芽細胞,血管,神経など多種類の細胞によってニッチが形成され,造血幹細胞の増殖と静止,自己複製と分化がコントロールされている。一方,白血病幹細胞の制御にもニッチが関わっており,特にニッチからのシグナルが再発,転移,治療抵抗性において重要な役割を果たしている。また,癌化過程においてニッチの機能異常が関与するということも示されている。このようなことから,ニッチ制御の理解は正常造血のみならず,白血病の発症と白血病幹細胞の維持機構を知る上で非常に重要である。