特集 骨髄学 ~造血ニッチ研究から見えてきた形態学から分子基盤まで~
2.骨芽細胞性造血環境(骨内膜ニッチ)の分子基盤
新井文用
1
Fumio Arai
1
1九州大学大学院 医学研究院 応用幹細胞医科学部門 幹細胞再生修復医学分野 教授
pp.321-327
発行日 2015年2月28日
Published Date 2015/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/5201503029
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
造血幹細胞は骨髄内の微小環境(ニッチ)との相互関係により未分化状態を維持している。骨髄中の造血幹細胞の局在が詳細に解析されたことにより,骨髄内のニッチとして骨内膜表面のニッチと傍血管領域のニッチが同定されている。近年の造血ニッチ研究の進展により,造血幹細胞の直接的な制御には傍血管ニッチの貢献が大きいのに対し,骨表面の骨内膜ニッチはより間接的な造血幹細胞制御を行うこと,一方で造血前駆細胞(Bリンパ球系前駆細胞)のニッチとして機能していることが示されている。 本稿では,骨表面のニッチを構成する細胞と,その造血制御における役割について概説する。