特集 骨髄増殖性腫瘍
5.真性赤血球増加症と本態性血小板血症の治療の進歩
小松則夫
1
Norio Komatsu
1
1順天堂大学医学部 内科学 血液学講座 教授
pp.1023-1033
発行日 2014年6月30日
Published Date 2014/6/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201407055
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真性赤血球増加症(polycythemia vera:PV)と本態性血小板血症(essential thrombocythemia:ET)は,血栓症の合併が予後に大きく影響する。イタリアのCYTO-PV Collaborative GroupがJAK2変異陽性のPV患者を対象に前方視的に試験を実施し,HCT値が45%未満にコントロールされたPV患者は,45~50%の間でコントロールされたPV患者に比較して,心血管系の合併による死亡や主要な血栓症の頻度が有意に減少すると報告し,HCT値を45%未満にすることの臨床的意義を初めて証明した。ETについては,PVSGの基準で診断された高リスクET患者にはUK-PT1 studyの結果から,ヒドロキシカルバミドとアスピリンが推奨されてきたが,WHO分類で診断されたET患者を対象としたANAHYDRET studyによって,アナグレリドのヒドロキシカルバミドに対する非劣性が証明されたことから,二次発癌のリスクも考慮し,今後は日本においてもアナグレリドがETの治療薬として使用されるものと思われる。