特集 骨髄増殖性腫瘍
序 ~病態解明と治療法の進歩~
下田和哉
1
Kazuya Shimoda
1
1宮崎大学医学部 内科学講座 消化器血液学分野 教授
pp.985-987
発行日 2014年6月30日
Published Date 2014/6/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201407017
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真性多血症,本態性血小板血症,原発性骨髄線維症などの骨髄増殖性腫瘍は,JAK2変異に代表されるJAK-STATシグナル伝達系を恒常的に活性化させる変異,およびTET2変異に代表されるエピジェネティックレギュレータの異常が単独で,あるいは重なって発症する。高頻度にみられるJAK2変異を標的としたJAK2阻害剤の開発が行われており,骨髄線維症に伴う倦怠感,掻痒感,体重減少などの全身症状,脾腫,生命予後の改善がみられる。ただ,慢性骨髄性白血病に対するABL阻害剤と異なり,腫瘍クローンの著明な減少は観察されず,その限界も明らかとなってきた。