特集 血液疾患とクローン性
1.クローン性検査の方法 2)クローン性検査の方法:フローサイトメトリー
米村雄士
1
Yuji Yonemura
1
1熊本大学医学部附属病院 輸血・細胞治療部 講師
pp.827-831
発行日 2014年5月30日
Published Date 2014/5/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201406031
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フローサイトメトリー(FCM)は,白血病や悪性リンパ腫患者の末梢血,骨髄,リンパ節の腫瘍細胞が発現している抗原を正常細胞と区別することで,造血器腫瘍細胞のクローナルな増加を判断することができる検査である。また,発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria:PNH)は,正常な赤血球や顆粒球に発現しているglycosylphosphatidylinositol(GPI)アンカー蛋白がPIG-Aの後天的な造血幹細胞レベルの遺伝子異常のため合成されず,細胞膜におけるGPIアンカー型膜抗原が欠損する疾患で,現在ではFCMによりPNH型血球を認めることで,比較的簡単にPNHと診断することが可能となっている。PNH型血球測定は,再生不良性貧血や骨髄異形成症候群などの造血障害患者の診断や治療にも役立っている。