特集 造血器腫瘍のゲノム解析
4.Down syndrome associated myeloid disorders
伊藤悦朗
1
,
土岐力
2
Etsuro Ito
1
,
Tsutomu Toki
2
1弘前大学大学院 医学研究科 小児科 教授
2弘前大学大学院 医学研究科 小児科 講師
pp.47-53
発行日 2013年12月30日
Published Date 2013/12/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201401047
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ダウン症の新生児の5~10%には,TAMと呼ばれる前白血病が発症する。その多くは自然寛解するが,20~30%は3年以内に急性巨核芽球性白血病(DS-AMKL)を発症する。我々は次世代遺伝子解析装置を用い,本症にみられる遺伝子異常を解析した。その結果,TAMではGATA1以外の遺伝子変異はきわめて稀であり,TAMは21トリソミーとGATA1変異によって起こっている可能性が高いと考えられた。一方,DS-AMKLではRAD21やSTAG2などのコヒーシン複合体の変異が完全に,相互排他的に53%の症例にみられた。さらに,CTCF,EZH2などのエピゲノムの制御因子,およびRAS/チロシンキナーゼなどのシグナル伝達系分子に高頻度に変異がみられ,DS-AMKLの発症に重要な役割を果たしていることが推定された。