特集 血球のトラフィッキング ~分子基盤から病態まで~
2.造血幹細胞の骨髄内再生機構と末梢組織中への動員メカニズム
服部浩一
1
,
西田知恵美
2
Koichi Hattori
1
,
Chiemi Nishida
2
1東京大学医科学研究所 幹細胞治療研究センター 幹細胞制御領域 特任准教授
2東京大学医科学研究所 幹細胞治療研究センター 幹細胞制御領域
pp.1381-1389
発行日 2013年9月30日
Published Date 2013/9/30
DOI https://doi.org/10.20837/52013101381
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
生体内の造血幹細胞は,周囲の至適微小環境(ニッチ)との相互作用により様々な動態を呈し,多様な生命現象に関与することがわかってきた。特に,骨髄内の幹細胞ニッチへの定着と離脱,そして骨髄内外での動態を制御する分子基盤は,造血幹細胞,そしてここに由来する造血系細胞-血球群の挙動,すなわち分化,動員,あるいは造血系細胞の増殖とも密接な関連性を有しており,その一連のメカニズムの解明は,再生医療の実現化に向けた最重要課題の一つといえる。本稿では,筆者らの研究成果を中心に,造血系細胞,骨髄由来細胞のトラフィッキングの動態に関する近年の知見について概説する。