特集 血液病と中枢神経病変
5.血栓性血小板減少性紫斑病と中枢神経病変
松下正
1
Tadashi Matsushita
1
1名古屋大学医学部附属病院 輸血部 教授
pp.1249-1252
発行日 2013年8月30日
Published Date 2013/8/30
DOI https://doi.org/10.20837/52013091249
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TTPの古典的5徴候は,〈1〉 細血管障害性溶血性貧血(MAHA),〈2〉 血小板減少,〈3〉 腎機能障害,〈4〉 発熱,〈5〉 動揺性精神神経障害であるが,HUSは 〈1〉 ~ 〈3〉 の3徴候からなり,ただちには鑑別困難である。〈5〉 の症状も一定のものはなく,神経学的画像所見(CT, MRI)における特徴的所見もほとんどない。TTPの典型的な例においては,ADAMTS13に対するIgG型自己抗体(インヒビター)が発生し,活性が極端に低下(多くは3%以下)した結果,切断されない超巨大分子構造をもつVWFマルチマー(UL-VWFM)が細小動脈などで血小板凝集を起こすと考えられている。後天性TTPにおいては血漿交換(PE)療法が第一選択である。また,ステロイド,時にステロイドパルス療法などの免疫抑制療法を併用し,PE実施前の血小板輸血は禁忌である。