連載 血液今昔物語 血液病-原典・現点
第24回 アンチトロンビン欠乏症 ~最初に発見された先天性血栓傾向~
齋藤英彦
1
Hidehiko Saito
1
1国立病院機構 名古屋医療センター 名誉院長
pp.1156-1161
発行日 2013年7月30日
Published Date 2013/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/52013081156
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原典 Egeberg O:Inherited antithrombin deficiency causing thrombophilia. Thromb Diath Haemorrh 13:516-530, 1965. 要旨 3世代にわたり9名(男6名,女3名)が下肢の深部静脈血栓症に罹患したノルウェーの1家系の報告である。血栓症の初発年齢は10~25歳であり,外傷,手術,妊娠に伴い発症することが多い。血中凝固因子活性は正常であるが,アンチトロンビン III およびヘパリンコファクター活性は,血栓症の罹患者では正常の50%に低下していた。アンチトロンビン III 欠乏は常染色体優性遺伝をするように思われた。これらの結果は,アンチトロンビン III とヘパリンコファクターが同一であること,およびアンチトロンビン欠乏症が血栓症の原因であることを強く示唆するものである。現在,この疾患の臨床像について我々が知っているすべてのことを記載した優れた論文である。