増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
血液検査
血栓・止血検査
アンチトロンビン
高木 夕希
1
,
小嶋 哲人
1
1名古屋大学大学院医学系研究科病態解析学講座
pp.100-101
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223216
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検査の概要
アンチトロンビン〔antithrombin:AT,旧称:アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)〕はトロンビンや活性化凝固第Ⅹ因子(activated factor Ⅹ:Ⅹa)などを阻害する生理的血液凝固阻止因子である.ATはヘパリンとの結合により抗トロンビン作用の反応速度を1,000倍以上に促進される.
先天性AT欠乏/異常症は常染色体優性遺伝形式をとる血栓性素因の1つであり,その頻度は人口10万人当たり1〜2人と報告されている.先天性AT欠乏/異常症患者のほとんどが50〜60歳までに血栓症を発症するが,そのうちの約70%は外傷,手術,妊娠,経口避妊薬の内服,あるいはそのほかの血栓リスクを契機として10〜35歳に初発する.血栓形成頻発部位は下肢深部静脈,腸管膜静脈などで,静脈系の血栓症を引き起こす.
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