特集 HLA Revisited
序 ~HLA多型・進化・疾病~
笹月健彦
1
Takehiko Sasazuki
1
1九州大学 高等研究院 特別主幹教授
pp.1037-1039
発行日 2013年7月30日
Published Date 2013/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/52013081037
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HLAは免疫システムにおいて二つの大きな役割を担っている。一つは胸腺におけるT細胞レパトワのサイズと質の決定,もう一つはT細胞免疫応答を惹起することである。免疫応答は感染防御に重要な役割を果たしているが,一方ではそれが組織や臓器に障害を与え,生体が死に至ることも知られている。免疫システムが両刃の剣と呼ばれる所以である。他方,免疫応答を人為的により強く惹起させることで,本来の感染防御能を強化しようとするワクチン開発のみならず,がんに対する免疫治療法開発が,国際的な激しい競争の下で繰り広げられている。HLAのframeworkとしてのゲノム構造,立体構造,HLAの分子進化に関する基礎研究,そしてHLAの免疫応答とその制御を通した疾病研究は,今後どのような展開を我々に見せてくれるのであろうか。