特集 HLA Revisited
6.HLA多型を考慮したがん免疫療法の開発
千住覚
1
,
冨田雄介
2
,
入江厚
3
,
西村泰治
4
Satoru Senju
1
,
Yusuke Tomita
2
,
Atsushi Irie
3
,
Yasuharu Nishimura
4
1熊本大学大学院 生命科学研究部 免疫識別学分野 准教授
2熊本大学大学院 生命科学研究部 免疫識別学分野 博士研究員
3熊本大学大学院 生命科学研究部 免疫識別学分野 講師
4熊本大学大学院 生命科学研究部 免疫識別学分野 教授
pp.1081-1089
発行日 2013年7月30日
Published Date 2013/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/52013081081
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筆者らは網羅的遺伝子発現解析により,がん細胞に高発現する腫瘍関連抗原(TAA)を数多く同定している。そして,TAAのアミノ酸配列をもとに,HLA-クラス I 分子に結合するペプチドをin silicoで予測して合成し,HLAトランスジェニックマウスやヒト末梢血単核細胞をTAAペプチドで刺激することにより,細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導できるペプチドを同定した。現在,これらのペプチドを用いたがん免疫療法の臨床研究が進行中であり,安全性の確認に加えて,一部では奏効例も観察されている。本稿では,より有効ながん免疫療法の開発を目指したCTLとヘルパーT(Th)細胞を同時に誘導できるTAAペプチドや,iPS細胞由来の樹状細胞を用いた細胞ワクチン療法の開発など,著者らの最近の研究成果についても紹介する。