特集 HLA Revisited
10.HLAの分子進化が語るもの
颯田葉子
1
Yoko Satta
1
1総合研究大学院大学 先導科学研究科 教授
pp.1111-1116
発行日 2013年7月30日
Published Date 2013/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/52013081111
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「進化学的視点」でHLAを眺めた時には,その遺伝的多型性の大きさに着目すべきであろう。1,000を超える対立遺伝子の数の多さもさることながら,最も顕著な特徴は,対立遺伝子が非常に長く(普通の遺伝子座の10倍以上)集団中に存在し続けている点である。このようなHLA(MHC)遺伝子座での多型維持の特性は,進化学的視点からどのように理解されるのだろうか。 本稿では,HLAの多型についてこれまでHLA分子進化研究が明らかにしてきたこと,今問題になっていること,今後の課題の3つの視点に基づいて解説したい。