特集 注目されるnatural killer T(NKT)細胞
1.人工アジュバントベクター細胞による癌免疫治療
藤井眞一郎
1
,
信賀順
2
,
清水佳奈子
2
Shin-ichiro Fujii
1
,
Jun Shinga
2
,
Kanako Shimizu
2
1理化学研究所 統合生命医科学研究センター 免疫細胞治療研究チーム チームリーダー
2理化学研究所 統合生命医科学研究センター 免疫細胞治療研究チーム
pp.905-913
発行日 2013年6月30日
Published Date 2013/6/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201307905
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生体防御を担う免疫系には,抗原非特異的に初期防御を担う「自然免疫」と,細胞性免疫応答によって特定の異物を強力に排除する「獲得免疫」がある。NKT細胞を標的とする免疫療法は,CD1d分子はヒトでは共通であるため,NKT細胞が認識し得る糖脂質を全ての患者に用いることが可能である。樹状細胞のCD1d上にNKTリガンドが提示されるとNKT細胞活性化が起こり,生体内樹状細胞の成熟化を促し,抗原特異的T細胞を誘導する。我々は,これまでに得られた知見を応用して,NKT細胞の活性化を引き金として生体内樹状細胞に癌抗原を提示させる細胞ワクチンとして,“人工アジュバントベクター細胞”を考案した。この新規癌ワクチンである“人工アジュバントベクター細胞”の開発を紹介する。