特集 間葉系幹細胞を用いた細胞治療
6.間葉系幹細胞を用いた癌治療の可能性
内堀亮介
1
Ryosuke Uchibori
1
1自治医科大学 分子病態治療研究センター 遺伝子治療研究部 免疫遺伝子細胞治療学(タカラバイオ)講座 助教
pp.495-503
発行日 2013年3月30日
Published Date 2013/3/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201304495
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間葉系幹細胞(MSC)は造血幹細胞移植領域での細胞治療への応用以外に,組織修復を目的とした再生医療への利用が期待されている。こうした再生医療やGVHDの治療は,MSCが傷害や炎症のある組織に集積していく性質を利用したものであるが,生体内における癌も絶えず炎症を伴っており,MSCは癌病巣にも集積する性質を持つことが報告されている。そこで,MSCをがんに対する遺伝子治療のプラットホームとして利用するという発想が生まれてきた。癌全般に対する遺伝子治療法の基盤技術開発という観点からも,幅広い展開が期待される領域である。