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閉経によるエストロゲン欠乏により骨吸収の亢進が生じ,骨微細構造の破綻や単位面積当たりの石灰化度の低下により骨密度が低下する。同時に,エストロゲン欠乏による酸化ストレスの増大により骨基質の主要な蛋白であるコラーゲンの老化が誘導され,骨密度の低下とは独立した機序で骨折リスクを高める。すなわちエストロゲンの欠乏は構造面および材質面での骨質の低下を招く。構造は骨吸収を抑制することにより効率よく改善可能であるが,材質は骨リモデリングを保ちコラーゲンを新陳代謝させつつ酸化ストレスを低下させないとコラーゲンの状態は改善しない。コラーゲンの老化の本質は,骨コラーゲンの分子間架橋の異常である。架橋には善玉と悪玉があり後者はいわゆる終末糖化産物(AGEs)である。エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体修飾薬(SERM)は,骨吸収の抑制と抗酸化作用による骨質改善を併せ持つ薬剤である。閉経後女性は酸化ストレス増大による骨質劣化が強く現れることから,病態に応じた治療薬を選択する必要がある。
Estrogen deficiency induces bone resorption and bone collagen crosslink abnormalities such as reductions in enzymatic cross-links and accumulation of Advanced glycation end products(AGEs). In this review, we described that the mechanism of poor bone quality in estrogen deficiency and how selective estrogen receptor modulators such as raloxifene and bazedoxifene improve bone structural and material properties.