特集 骨粗鬆症治療の新展開
5.骨粗鬆症治療におけるSERM の位置づけ
水沼英樹
1
1弘前大学医学部産科婦人科学教室・教授
pp.879-884
発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201303879
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Selective estrogen receptor modulator(SERM)は骨のエストロゲン受容体に結合して組織特異的にエストロゲン作用あるいは抗エストロゲン作用を示す物質の総称である。骨粗鬆症の治療薬としてわが国ではラロキシフェンとバゼドキシフェンの2剤が承認されている。他の骨粗鬆症治療薬と比べた場合,SERM の大腿骨骨折予防効果は明確ではないものの,活性酸素やAGE(advanced glycation end-product)を抑え骨質の維持や改善効果を持つ。さらに,LDL(low density lipoprotein)コレステロールの低下やHDL(high density lipoprotein)コレステロールの増加など脂質代謝の改善効果を持ち,乳癌の発生リスクを低下させるなど,骨以外でも多くの好ましい作用を有するので,高齢者のQOL(quality of life)の維持薬としての効果も期待できる。