特集 川崎病アップデート ~病因・病態論の推移と展望~
Ⅸ.バイオマーカー ~本症に特異的なマーカーは見出せるか~
勝部康弘
1
,
松井亮介
2
,
寺西見春
3
Yasuhiro Katsube
1
,
Ryosuke Matsui
2
,
Miharu Teranishi
3
1日本医科大学武蔵小杉病院小児科部長・病院教授
2日本医科大学武蔵小杉病院小児科専攻医
3日本医科大学武蔵小杉病院小児科助教
pp.1428-1434
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.20837/32018111428
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川崎病は小児科医にとって今日最もよく遭遇する疾患の1つである。全身の血管炎に基づく炎症性の症候群であり,冠動脈病変の合併が最も大きな問題として挙げられる。様々な戦略のもと冠動脈病変の合併率は概ね2%台まで減少しているが,未だ後天性心疾患で最も多い疾患であり,合併率減少のためのさらなる戦略が求められている。バイオマーカーを用いた戦力もその1つである。現時点では確定された川崎病バイオマーカーはなく,その探索に向けた研究が続けられている。本稿では,「免疫グロブリン静注不応予測有用なバイオマーカー」,「冠動脈合併予測に有用なバイオマーカー」,「川崎病の診断に有用なバイオマーカー」に分けて川崎病バイオマーカーの現状を概説する。