特集 血管炎とアレルギー疾患 -内因性・外因性アジュバントの関わり-
Ⅸ.Tonsil induced autoimmune/inflammatory syndrome(TIAS)としてのIgA血管炎
永野千代子
1
Chiyoko Nagano
1
1仙台赤十字病院小児科主任部長
pp.810-819
発行日 2018年5月15日
Published Date 2018/5/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201806810
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ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(=IgA〔immunogloblin A〕血管炎),紫斑病性腎炎,IgA腎症は,糖鎖不全IgA1の過剰産生を特徴とする血管炎である。鼻咽頭関連リンパ組織(ワルダイエル輪)におけるIgAを介する粘膜免疫応答異常が関与し,小児においては治療の一環として行われる口蓋扁桃摘出術±アデノイド切除術が早期根治をもたらす。粘膜免疫応答は,捕捉した病原微生物や有害な自己組織が持つ特定の構造を樹状細胞が認識することにより始まる自然免疫応答と,樹状細胞に提示された抗原情報に基づきT細胞の活性化やB細胞の抗体産生へとひきつがれる適応免疫応答により成る。本稿では,小児IgA血管炎患者の背景にある鼻/副鼻腔・口腔・咽頭の感染症を示し,病原微生物の影響下に置かれた鼻咽頭関連リンパ組織の樹状細胞が,微生物DNAや炎症性サイトカインをアジュバントとしてIgA粘膜免疫応答異常をもたらした可能性について考察する。