特集 咳嗽をめぐって
Ⅴ.アトピー咳嗽 -この概念は一般臨床で必要か?-
保澤総一郎
1
Soichiro Hozawa
1
1広島アレルギー呼吸器クリニック理事長/統括院長
pp.518-527
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201804518
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アトピー咳嗽と咳喘息は,咳嗽の発生機序が異なり予後や長期治療方針が異なる。その臨床症状は酷似しており鑑別には専門的検査を要するが,一般臨床では困難である。そこで,気管支拡張薬が有効である咳嗽を唯一の症状とする咳喘息の特徴から,気管支拡張薬の効果評価による治療的診断が求められるが,一般臨床の現場での「とにかく咳を早く止めてほしい」という患者ニーズには対応できない。アトピー咳嗽の概念は大事にしつつも,咳喘息の可能性が少しでもあると考えるならば躊躇なくICS(吸入ステロイド)をベースとした長期管理を行うことが重要であろう。