免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際
7・凝固・線溶因子
⑧第Ⅷ因子
吉岡 章
1
1奈良県立医科大学小児科
pp.780-782
発行日 1988年6月15日
Published Date 1988/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204595
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第Ⅷ因子とは
第Ⅷ因子(F.Ⅷ)は伴性劣性遺伝性の血友病Aにおいて先天性に量的,質的欠陥を示す血液凝固因子である.その構造は2,332個のアミノ酸から成る,分子量330kD(キロダルトン)の1本鎖糖蛋白である.F.ⅧはX染色体支配下におそらく肝臓で産生され,その生物学的機能として活性化第IX因子(F.IXa)/リン脂質/Ca2+と複合体を形成し,第X因子を活性化させる凝固機能(第Ⅷ因子凝固活性;F.Ⅷ:C)を有している.また,F.Ⅷ蛋白は免疫学的手法に基づく定量が可能で,第Ⅷ因子抗原(F.Ⅷ:Ag;かつてⅧCAgと呼ばれた)と呼称される.
このF.Ⅷは正常血漿中では常染色体支配下に産生されるvon Willebrand因子(vWF)と非共有結合下に複合体を形成しており,第Ⅷ因子/von Willebrand因子複合体(F.Ⅷ/vWF)と呼ばれている.
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