特集 アレルギー疾患とバリア障害
序~バリアから見えてきた新たなアレルギー学~
椛島健治
1
Kenji Kabashima
1
1京都大学大学院医学研究科皮膚科学教室教授
pp.711-714
発行日 2017年5月15日
Published Date 2017/5/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201706009
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皮膚,消化管,肺,鼻粘膜,結膜などのバリア臓器は,常に外的刺激に曝露され,これら外的侵襲を非自己として認識し,免疫・アレルギー反応を介して排除しようとする。したがって,外的刺激に対する多彩な生体反応は,生体防御とアレルギー疾患の発症との表裏一体の関係にあり,外的刺激に対する生体応答機序を理解することはアレルギー疾患発症の理解にも繋がる。近年,皮膚バリア破壊を契機にアトピー性皮膚炎のみならず気管支喘息の発症にも至らしめること,また,経皮感作と経口免疫寛容のバランスがアレルギーの発症や制御に重要であることなどが明らかになり,さらにそれらの知見が臨床にも生かされつつある。