特集 アレルギー疾患とバリア障害
Ⅰ.バリア総論
大塚篤司
1
Atsushi Otsuka
1
1京都大学大学院医学研究科皮膚科学教室
pp.716-722
発行日 2017年5月15日
Published Date 2017/5/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201706014
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皮膚は体重の16%を占める人体最大の臓器である。皮膚が水分蒸発を防ぐことで哺乳類は陸上生活を可能とする。また,皮膚は物理的,免疫学的にも防御機構として働く。皮膚には,ランゲルハンス細胞や樹状細胞といった抗原提示細胞が存在し,物理的バリアをくぐり抜けてきた異物に対し免疫学的に排除を行う。このバリアに異常を来した疾患がアトピー性皮膚炎(AD)である。2006年,ADとフィラグリン遺伝子の変異に相関関係があることが報告された。さらに,バリア機能の破綻がアレルギーマーチを誘導することも知られている。近年,フィラグリンを標的としたADの新規治療開発が進んでいる。