連載 アレルギーにかかわる免疫学の知識(10)・最終回
アレルギーの免疫学的治療
矢田純一
1
Junichi Yata
1
1東京医科歯科大学名誉教授
pp.118-126
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201701118
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アレルギーの発症にはいくつかの段階を経た過程があり,そのいずれかを遮断することで治療が図られる。生体に必要な免疫応答は損なうことなく,アレルギーにかかわる反応のみを選択に阻止するのが理想である。免疫学的手法による方法はそのような目的にそぐうものが多いと考えられる。IgEのマスト細胞への結合を阻止すること,マスト細胞の活性化を制御する分子を働かせること,IgEへのスイッチを導くIL-4,IL-13の作用を遮断すること,IL-4を産生するTh2細胞の反応を抑えること,アレルギーの組織反応にかかわるサイトカインを遮断すること,IL-4の産生を抑えるインターフェロンγの産生を導くこと,アレルゲンに対する免疫応答を抑えるレギュラトリーT細胞を誘導すること,などが試みられている。