連載 アレルギーにかかわる免疫学の知識 (8)
腸内共生菌とアレルギー
矢田純一
1
Junichi Yata
1
1東京医科歯科大学名誉教授
pp.1566-1572
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201611106
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腸管内には莫大な数の多種類の細菌が共生していて,生体にとって恩恵となるさまざまの働きをしている。そのような共生菌の生着を損なわないよう,腸管の免疫系には制御がかけられている。しかしながら,そうした菌や病原菌が生体内に侵入していた時にはそれらを排除する免疫機構が発動する。共生菌は免疫系の発達のためにもよい刺激となり,免疫系の形成に役立っているが,共生菌の種類によって誘導される免疫応答に相違が存在する。アレルギーに結びつく免疫応答を抑制するような働きをもつ共生菌の増殖を図ることはアレルギーの発症予防,治療に貢献すると考えられる。