特集 IgEをめぐる諸問題 アップデート
Ⅷ.IgEと寄生虫
安田好文
1
,
善本知広
2
Koubun Yasuda
1
,
Tomohiro Yoshimoto
2
1兵庫医科大学免疫学講座講師
2兵庫医科大学免疫学講座主任教授
pp.1676-1684
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201612070
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蠕虫に感染するとTh2免疫応答によってIgEが産生される。アニサキス感染で誘導されたアニサキス特異的IgEは海産魚類による食物アレルギーに関わる。しかし,本来IgEは寄生虫感染防御に重要な役割を果たしている。IgEはSv感染に対しては肥満細胞と共に働いて小腸粘膜に侵入した成虫を排除し,Nbの再感染に対しては好塩基球と共に働いて感染局所で幼虫を封じ込め,またHpの再感染に対してはやはり好塩基球と共に小腸粘膜面からの排除に働く。IgEはIgGと補い合って働くが,生体防御においてIgGよりも高効率で重要な武器であると考えられる。