特集 IgEをめぐる諸問題 アップデート
Ⅰ.IgEの多様性とマスト細胞
安藤智暁
1
Tomoaki Ando
1
1順天堂大学大学院医学研究科アトピー疾患研究センター
pp.1620-1628
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201612014
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
抗アレルギー薬といえばマスト細胞に関わらない標的分子は存在しないと言えるほど,マスト細胞はアレルギーに関わるあらゆる治療に関連している。そして,その活性化機構において最も重要な役割を果たしているのがIgEである。IgEとマスト細胞は,外敵を効率的に排除するために,多数の抗原を分別する術や,ヒスタミン遊離因子(HRF)をはじめとする自己成分への反応性を利用して炎症を増幅する術を備えている。本稿では,これらの技を支えるIgEの多様性と,それを逆に利用した新たなアレルギー治療の戦略について考察したい。