特集 アレルギーとインターロイキン 最近の進歩
Ⅳ.IL-13とアレルギー
三山英夫
1
,
東元一晃
2
,
井上博雅
3
Hideo Mitsuyama
1
,
Ikkou Higashimoto
2
,
Hiromasa Inoue
3
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科呼吸器内科学特任助教
2鹿児島大学大学院医歯学総合研究科呼吸器内科学講師
3鹿児島大学大学院医歯学総合研究科呼吸器内科学教授
pp.1496-1505
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201611036
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Interleukin(IL)-13は,アレルギー性炎症に中心的な役割をはたすTh2サイトカインの1つである。その受容体やシグナル伝達経路はIL-4と共有しており生物活性が類似している。IL-13は活性化されたヘルパーT細胞のTh2サブセット(Th2細胞)から産生されると考えられてきたが,近年,気道上皮由来のIL-33やIL-25に刺激された自然リンパ球(ILC2)からも産生されることもわかってきた。IL-13は,B細胞に作用してIgEへのクラススイッチを誘導し,好酸球性炎症,気道上皮の杯細胞化生や気道粘液の産生,気道過敏性亢進にも関与する。近年,IL-13/IL-4をターゲットにした抗IL-13抗体やIL-4レセプター拮抗薬などの喘息治療薬が開発され,臨床試験でも呼吸機能の改善などその有効性が示されつつある。ただし,これらの薬剤はすべての喘息患者に有効性を示すわけではなく,ペリオスチンなどのバイオマーカーによってその効果が予測できる可能性も示されており,従来の治療に抵抗性を示す重症難治性喘息に対する個別化・適正化治療に道を開く第一歩であるとともに,喘息・アレルギー病態の多様性としての新たな臨床的表現型(フェノタイプ)や分子病態生理学的疾患サブタイプ(エンドタイプ)の理解に繋がる可能性がある。