特集 気道炎症の評価
II.耳鼻咽喉科 2.鼻腔一酸化窒素(nasal NO)の有用性と課題
竹野幸夫
1
,
樽谷貴之
2
Sachio Takeno
1
,
Takayuki Taruya
2
1広島大学大学院医歯薬保健学総合研究院耳鼻咽喉科・頭頚部外科 准教授
2広島大学大学院医歯薬保健学総合研究院耳鼻咽喉科・頭頚部外科
pp.1398-1407
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201510060
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鼻腔の一酸化窒素(NO)のモニタリングは,鼻アレルギーや副鼻腔炎においても簡便なバイオマーカーとして病態診断や治療評価への応用が期待されている。一方で,鼻副鼻腔で異なる濃度勾配,並びにNOが上気道で有する多機能性を考慮すると,鼻呼気FeNOとして測定される数値の解釈には注意が必要である。これまでの検証では耳鼻咽喉科領域においてNOは,「副鼻腔炎・鼻茸では低下(善玉),鼻アレルギーでは上昇(悪玉)」という正反対の位置づけとなる。今後,鼻副鼻腔の解剖学的特徴を踏まえ,治療効果を良好に反映する鼻腔NOの測定方法の標準化が,NOが広く上気道炎症のバイオマーカーとして認識されるには必要と思われる。