特集 小児気管支喘息ガイドライン(JPGL)の再評価と展望
V.日本小児救急医学会からみたJPGLの再評価と展望
市川光太郎
1
Kotaro Ichikawa
1
1北九州市立八幡病院 小児救急センター/院長
pp.1072-1078
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201508042
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小児救急現場における喘息性疾患の受診・入院頻度はJPGLの普及・周知・実践により,明らかに減少している。しかし,乳児喘鳴性疾患,長期管理コントロールからの逸脱例は一定数で存在し,これらの患児に対する新たなプロトコール・管理指針の策定が求められる。加えて,一律な治療管理基準の普及にて,救急現場ではその救急対応(一時的治療・対症療法)が薬物療法のみに終始し,子ども達の将来を見据えた健全育成指導が疎かになることが危惧される。このことから,ガイドラインでもっと環境整備・体力増強のための指針の明示が求められる。一方,適正な日常生活の指導等の強化のためにもコメディカルとの協働は不可欠であり,コメディカル等の役割等を明記してのガイドラインが望まれる。 さらに,救急現場においても病態の本質的な部分,すなわち,リモデリングの発生病態の解明とその治療への応用であり,この点が解明されて,救急現場においても一時的・対症療法ではなく根本的治療が行われることが望まれる。